濃藍のデニム地に美人画を秘めた、“粋”でつながる洒落た逸品。
蔦重と歌麿、二人の天才が生み出した美人画。そして、同じ時代、鳶や町火消の印半纏に使われた濃藍を現代に蘇らせた“江戸黒染めデニム”。この二つの粋が融合したのが、こちらの江戸黒染めデニムの半纏。明治25年創業の老舗〈坂本デニム〉から当社限定でお届けする逸品です。「裏派手・裏勝り」でお洒落を愉しむ心意気を宿すべく、身頃裏に「ビードロを吹く娘」を大胆に表現。表地は黒とも藍とも異なる深みを湛えた濃藍で、“江戸黒染めデニム”ならではの唯一無二の風合いが光ります。描かれた娘の纏う桜色は、古来日本に自生する桜の一種である江戸彼岸(エドヒガン)を模したもの。花弁が重なることで生まれる淡く繊細な薄紅色を基調に、あしらった青桜と共に柔らかな色調に仕上げ、袖口の裏にも配しました。長寿の桜としても知られるこの江戸彼岸の色合いには、永くご愛用いただきたいとの想いも込められています。蔦重の審美眼で盛り上げた時代の粋な美人画と、粋を愉しむ「裏派手・裏勝り」の美意識を結び、作り上げた一着。当社にしか表現できない大胆な裏派手を配した“粋”の集大成を、ぜひ“意気”揚々とお愉しみください。
当社限定商品
商品番号:112-619

江戸黒染めデニム・浮世絵裏地半纏「ビードロを吹く娘」

42,900(税込)
 
カラー・タイプ
01 江戸黒×町娘
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素材 表地=綿97%、ポリウレタン3%、裏地=ポリエステル
仕様 ポケットは前面に4個
洗濯方法 手洗い可
原産国 日本
その他 ※柄の出方が写真と異なる場合があります。
※素材の特性上、摩擦や汗などで色落ちや色移りする場合があります。
サイズ 適応身長 適応胸囲 着丈 裄丈
04:M 160-170 88-96 75 77
05:L 165-175 96-104 78 80
06:LL 175-185 104-112 81 83

サイズ(単位=cm)

坂本デニム
〈坂本デニム〉は、1892年に呉服や作務衣などの藍染め業として創業。藍白、浅葱、納戸色、紫紺、鉄紺、藍錆をはじめ、藍四十八色といわれるように、藍染めによって表現される繊細な色の違いを一世紀以上にわたって追求してきた老舗です。
そして長年培った染色技術を活かしデニム生地の生産を開始し、1967年には糸の表面だけを染め、芯は白く残す “芯白染色” の機械化に成功。日本のデニム染色の草分け的存在です。

江戸を彩った寵児 蔦屋重三郎 〜蔦重の審美眼で江戸の「粋」が開花する〜

江戸時代の町人文化を盛り上げ、共に駆け抜けたメディア王。

260年以上続いた江戸時代。中期には商業重視の政治となり、町人文化が花開きます。当時メディアといえるものは出版業にほぼ限られており、庶民は読本や草双紙、浮世絵などを情報源や娯楽にしていたといいます。そんな時代に多くのスター絵師や作家を輩出し、ヒット作を生み出し続けた男がいました。大河ドラマの主人公としても注目を集める「蔦重」こと蔦屋重三郎です。蔦重は安永元年(1772年)に書店「耕書堂」を開いて出版業に乗り出し、狂歌本や黄表紙など数々の娯楽本を手がける版元として名を馳せます。後世では「江戸のメディア王」とも称され、「彼の存在なくして町人文化はここまで花開くことはなかった」と歴史家たちに言わしめるほどの手腕でした。

機を見るに敏と動き出し、時代を活気づける仕掛け人。

「江戸名所 よし原仲の町 桜の紋日」歌川広重
コンテンツ提供:浮世絵ストックフォト

江戸時代中期、田沼意次が失脚し、松平定信による寛政の改革は厳しい倹約を強いました。庶民の暮らしは困窮し安定せず、世相は活気を失うばかり。その暗さを逆手に取ったのが蔦重です。世相をパロディ化し、シニカルな風刺で笑いを取る「文武二道万石通」、「鸚鵡返文武二道」などの黄表紙の出版に着手したのです。機運に乗じることに秀でた蔦重の読みは当たり、大きな話題を呼んでいきます。その蔦重が生まれたのは、絢爛たる流行の発信地であった吉原です。本来桜がないところに、開花の時期、京都より数百本を運び入れ、急造の桜並木で楼閣の大門をくぐる人々を驚嘆せしめました。そんな「粋」とは何たるかを知る町が彼のような“異端児”を育てたのかもしれません。かつて遊郭の案内本「吉原細見」も手がけた蔦重は、世渡りのうまさを活かし抜け目なく人脈を広げていました。その縁は絵師や作家、改め役にまでおよび、新作の噂がすぐに広まりやすい人脈を整えていたこともヒット作を生む礎となります。改革を揶揄する作品に人気が出る風潮を幕府が見逃すわけもなく、出版統制や罰金刑を科します。しかし蔦重は屈さず、多くの絵師や作家を巻き込んで黄表紙や錦絵などを生み出し続けました。そんな大胆不敵な行動ができる性格も、蔦重の比類なき強みでした。

美人画で才能を示した天才絵師・喜多川歌麿。

喜多川歌麿作「ビードロを吹く娘」。大胆な構図と繊細な筆遣いが、娘を艶やかに引き立てます。

蔦重の肝煎りで売り出され頭角を現したのが、浮世絵師・喜多川歌麿です。蔦重は、上半身を大写しにした「美人大首絵」を歌麿に描かせ、これが大きな反響を呼びました。全身を描くという美人画の常識を覆す大胆な構図と、仕草や表情といった細部を魅せる歌麿の表現力を合致させたところに蔦重の慧眼が示されています。歌麿を象徴する代表的な作品が「ビードロを吹く娘」です。当時流行したガラス製の玩具を吹く、町娘を描いた美人画。振り返る姿が柔らかな曲線で描かれ、市松模様に桜の花弁をあしらった色合いの妙も冴えます。目や口元の僅かな表情や女性らしい指先まで細やかに表現され、たおやかな娘の艶も感じさせます。その魅力は今なお色褪せることはなく、粋とは何たるかを私たちに訴えかけます。