江戸の町人文化で花開いた、浮世絵人物画の絵師。
喜多川歌麿――。江戸期の浮世絵の世界において、葛飾北斎、歌川広重に匹敵する大御所として名高い絵師。とりわけ人物画に関して、北斎や広重以上に評価が高く国内外で尊ばれており、未発表の作品が発見されれば国際的にも話題になるほど、今もなお注目度が高いです。この偉大なる絵師を世に出したのが、2025年の大河ドラマの主人公でもある「蔦重」こと蔦屋重三郎です。蔦重は江戸の版元として、世相を反映した黄表紙などを発行して大ヒット。幕府による出版統制令で一時失速しますが、黄表紙の挿絵を担当していた歌麿の才能を見出してタッグを組み、次々と新しい作品を生み出しました。それまでの美人画は全身を描くのが常でしたが、歌麿の代表作「美人大首絵」は上半身にフォーカスし、女性の一瞬の表情や何気ない仕草をとらえて大当たり。まさしく、現代で言うプロデューサーのような立ち位置で、絵師とは違う形で浮世絵の発展に寄与し、日本美術に多大な影響を与えた人物なのです。
老舗版元の熟練技で、江戸期の手法が現代に蘇る。
こちらは、蔦重がプロデュースした歌麿画の作品。明治24年に京都で創業した老舗版元〈芸艸堂〉が木版画として蘇らせました。江戸期の技法と同様、歌麿を「絵師」とし、〈芸艸堂〉の熟練職人が「彫師」と「摺師」を担って作り上げた三位一体の版木版画の作品です。〈芸艸堂〉は、今も江戸期の版元と同じように木版画の伝統をそのまま墨守する出版社。創業当時から制作された版木、求版した江戸末期からの古版木を数万枚保管しており、歴史的に貴重な版木も数多く所有。国産の顔料にこだわり、墨版と複数の色版の版木を熟練の摺師が巧みに使い分け、一枚一枚摺り上げていきます。印刷では成し得ない、絶妙な表現が見事です。
大首絵ならではの迫力。美人画の傑作。
喜多川歌麿作「ビードロを吹く娘(ポッピンを吹く女)」は、当時流行した舶来品のガラス製の玩具を吹く町娘を描いた美人画。歌舞伎の役者絵などに用いられた顔や半身を中心に描く大首絵を草案に、女性の柔和さや艶のある表情を子細に表しています。上半身をクローズアップすることで髪型や衣装もより繊細に表現されるようになり、赤い着物に空色の桜が舞う色彩の重なりや帯の奥深い色に版画表現の妙が光ります。江戸時代に花開いた町人文化の活気あふれる様を感じる迫力ある名画を額装にてご用意。ぜひ、この好機にご堪能ください。
商品番号:119-406-01-01

喜多川歌麿「ビードロを吹く娘(ポッピンを吹く女)」(木版画)

29,700(税込)
 
カラー・タイプ
01 *
サイズ
在庫状況
在庫なし(入荷未定)
数量
ギフト
ラッピング
サイズ(約) 画=縦38.5cm×横26cm、額=縦52.5cm×横41cm×厚さ2.3cm
重さ(約) 1.35kg
材質 紙=越前生漉奉書、額=縁は天然木、前面はアクリルガラス
技法 手摺り彩色木版(12版18度摺)
仕様 専用木製額付
原産国 日本
その他 ※一点一点手摺りのため、色調が写真と異なる場合があります。

日本で唯一の手摺木版和装本の出版社として知られる〈芸艸堂〉。江戸時代の版元と同じように木版画の伝統をそのまま墨守する版元です。同社の版木蔵には、明治24年(1891年)の創業以来手がけてきた版木や求版した古版木など、述べ数万枚が保管されており、中には伊藤若冲や竹内栖鳳、小林古径、神坂雪佳といった著名画家による絵や図案など歴史的に貴重な資料も数多く、まさに宝の山です。現在ではそうした版木と伝統的な木版摺り技術を活かし、画家たちが残した芸術作品をさまざまな形で復刻。中でも、日本製高級顔料を使用した木版画は、手漉き和紙に一枚一枚摺り上げることで格別の色合いを引き出しているのが特徴です。

数万点に及ぶ版木が収められた〈芸艸堂〉京都本店の版木蔵。

名摺師なればこその高度な技により、全体の色調のバランスを取りながら同じ仕上がりになるよう何十枚にもわたって再現。

江戸時代の浮世絵版画の技術と同じ方法で木版画を制作。一枚の版木を彫り上げるのに熟練職人でも1ヵ月を要します。