HELLY HANSEN
Exclusive model
流体解析に基づく機構が蒸れを低減
衣服内環境を整える
〈ヘリ―ハンセン〉の別注ジャケット
毎シーズン、お客様にご好評いただいている〈ヘリーハンセン〉との別注アイテム。 新作は日本特有の気候に着目して生まれた、春先の最適解となる「ベンチレーション(通気口)」を備えたジャケットです。衣服内の熱や蒸れを逃がしてくれるため、手軽に温度調節がしやすい便利なアイテムです。今回開発を担った研究開発施設ゴールドウイン テック・ラボに取材を敢行。新作ジャケットの魅力に迫ります。
WHAT
数値流体力学による解析データに基づき、効率よく通気する最適なベンチレーションポイントを背中、袖、脇に設定。衣服内外での換気を促し、快適な着用感につなげています。またややゆとりを持たせたシルエットは、インナーの調整で季節、気候に対応しやすく、長いシーズンの着用を可能にします。
MORE DETAIL
WHAT
ゴールドウイン テック・ラボは、2017年にゴールドウイン社創業の地である富山県小矢部市に開設された、先進のものづくりを実践するための研究開発施設です。 ここでは縫製やリペアなどの工場機能や、運動研究や品質検査などの研究開発のほか、新作ジャケットの開発へとつながった数値流体力学(Computational Fluid Dynamics 略称:CFD)についても日々解析が進められています。 今回、数値流体力学をもとに、どう応用され製品化されたかを株式会社ゴールドウイン 開発本部 テック・ラボ 研究開発グループ 岩田氏にお話を伺いました。
「空気や水といった流体の流れや熱の移動をコンピュータ上でシミュレーションすることが数値流体力学で、もともとは航空宇宙産業で発展してきた研究ですが、今日ではイメージしやすいところで言うと、天気図やマスクの飛沫の解析などあらゆる分野で応用されています。スポーツ分野ではパフォーマンスの向上に着目した解析例が多いですが、スポーツ製品にはパフォーマンスの向上のほか、身体への負荷を軽減することや快適性の維持といった機能性も求められ、解析による製品化が進んでいます。今回のジャケットでは、その中でも快適性の維持(温熱快適性)に着目して解析を進めました。」
「パターン(型紙)をもとに、衣服をコンピュータ上で再現し、ベンチレーションを付けたもの(開)と付けていないもの(閉)とで比較。ベンチレーションがあることでどのぐらい効果があるのかを解析しました。」
「ベンチレーションの有無による空気の流入出量の比較解析をしたところ、ベンチレーションがついていないものに比べ、衣服内外の換気量が、背中のみベンチレーションを追加した場合の換気量は9.6%増加し、 脇や袖、背中にベンチレーションを追加した今作だと、換気量は58.2%も増加します。このように、背中のみならず、脇と袖にベンチレーションを追加し、空気の入口を設計することによって、飛躍的に効果を高めることができました。」
「次に表面熱流束(放熱量)を見てみても、ベンチレーションを開けることで上半身の放熱量が24%増加しました。ベンチレーションが備わっている背面上部と腕部分の放熱量が特に増加しているところを見ると、ベンチレーションがある方が、空気が取り込まれ、そして循環することで、着用しながらも蒸れにくい環境にあると考えます。」
「とは言いつつも、ただベンチレーションを開ければいいのではなく、あくまで〈ヘリーハンセン〉らしいデザインと機能性を両立させることが大事で、今回のジャケットはデザイン性を損なわず、解析に基づくベンチレーションポイントの設定がうまくできているので、ぜひ日常使いにもおすすめしたいですね。」 (岩田氏)
佐藤和彦氏
株式会社ゴールドウイン
グローバルブランド事業本部
ヘリーハンセン事業部 企画グループ
ジャケットを羽織りたいけど、蒸れるのは嫌。 高温多湿な日本でありがちな、そんな気持ちに寄り添いたいと思いました。 目指したのは、〈ヘリーハンセン〉らしいクラシックなデザインと検証に基づく合理的な通気性の融合。 使いやすさと快適さを兼ね備えたジャケットです。
140年以上にわたり、海という、常に変化する過酷な環境条件と対峙するセイラ―たちを支えてきた〈ヘリーハンセン〉。そこで培われてきた英知に加え、先端の技術が取り入れた今回の別注モデル。ぜひ日常から旅まで着用いただきたいおすすめの一着です。
1877年、ノルウェーの港町モスで商船艦長を務めていたヘリー・ジュエル・ハンセンが船乗りたちを寒さや濡れから守る防水ウェアの発明に成功し創業。翌年、キャンバス地に亜麻仁油を染み込ませた防水コートがパリ万国博覧会において最優秀賞を受賞。1900年代には油のべとつきがなく美しい光沢の生地「リノックス」、PVC極薄シートを基布にした軽量防水素材「ヘロックス」などにより名声は世界に広まりました。そして1980年、ブランドオリジナルの防水・透湿素材「ヘリーテック」を使用したアウタージャケットを開発。防水性に加え、不快な蒸れや結露を抑え、ウェア内をドライで快適な状態にキープするジャケットは、当時のアウトドア業界に大きな衝撃を与えました。 〈HELLY HANSEN/ヘリーハンセン〉は、画期的な防水技術で世界中のセーラーから信頼を集め、現在はセーリングをはじめ、トレッキングやスノースポーツなど、幅広いフィールドで高い評価を得ています。