それは“経年優化”という新しい愛着。
「何気ない日常にこそ本当の贅沢を追求したい」をテーマに、
さまざまな切り口から選りすぐりのアイテムをご紹介するカタログ『RUGLOG/ラグログ』。
今回ご紹介するのは、着込むほどに味わいが増し、熟成するようにそだっていく
“経年優化”という新しい価値を示してくれる、
〈FOBファクトリー〉フレンチモールスキン・カバーオールです。
PICK UP CONTENTS
アメリカのワークウェアの代表格といえばデニムですが、それに対してフランスの定番生地が、堅牢な綿織物のモールスキンです。〈FOBファクトリー〉オリジナルの地厚モールスキンは、限界まで高密度に織った横朱子生地に針で起毛密度を高めることで、タフでありながら柔らかく、着込むほどに味わいを深め、長い愛着に応えます。
本場パリの展示会でも注目の的
バイヤーだけでなく、出展者までもがブースを訪れ、スウェードのような表情のモールスキンをさわり「ジャーマンレザーのようだ」と高く評価。〈FOBファクトリー〉のモールスキンが世界で認められました。
時の経過とともに状態が変わることを経年変化といいますが、ラグログは“経年優化”。 経年変化のような消耗ではなく、時が経つほど、使えば使うほど愛用する人の個性が刻まれ、上質なヴィンテージ品のように存在感を増していく。同じものが2つとない輝きを見せはじめ、よりいっそうの愛着が芽生えます。
※写真は約3年間着用したものです。
洗ったり、着込んだりするうちに縫い目にはパッカリングというシワやつりが発生し、立体感が生まれます。そしてその凹凸部分が擦れてアタリ感が現れるほか、全体がきれいに色落ちしながら味わい豊かにそだっていきます。
高密度に織られた地厚な生地は、タフでありながらも柔らか。着込むほどにさらに柔らかさが増し、身体に心地よくなじみながら手放せない風合いに。起毛した毛も時間とともに寝てきて新たな味わいを見せ、経年優化の醍醐味を愉しめます。
フレンチヴィンテージの定番としても人気の高い「モールスキン」。今回は〈FOBファクトリー〉のディレクター、礒野さんに質問に答えていただき、フレンチモールスキンに込めたモノづくりへの想いを伺いました。
〈FOBファクトリー〉ディレクター
礒野 誠司 氏
1995年、繊維産業が盛んな岡山県の児島で〈FOBファクトリー〉を創業。ブランド独自開発による生地を使用し、縫製は古いアメリカミシンを改造して用いるなど品質にこだわり、ベーシックで長く着用できるウェアづくりを目指しています。
日本製にこだわる理由はなんですか?
「尊敬できる日本の職人さんと
今までにないモールスキンを
つくりたいと思ったからです」
織りは泉佐野、染めと起毛加工は浜松、縫製は岡山です。日本の職人さんの技術は、世界に誇れるほど高いのですが、高齢化が進んで廃業も相次いでいます。その貴重なメイド・イン・ジャパンの技術を活かせば、地厚で柔らかい理想的なフレンチモールスキンをつくれると思いました。おかげさまで海外でも高い評価をいただいています。
なぜ地厚なのに柔らかいのですか?
「秘密です(笑)
日本の職人さんの技術と
やさしさに
助けられました」
柔らかさという点でいえば、起毛加工がポイントですが、この厚みの生地を加工できるのは、私が知る限り日本でも1社しかありません。地厚だと織るのも時間がかかりますし、縫製も大変です。生地が重なる箇所は、ハンマーで潰しながら縫製するんですよ。職人さんたちには私のわがままを聞いていただき、本当に感謝しています。
きれいに経年優化させるコツはありますか?
「とにかくガシガシ洗濯して
日常で着込んでください。
自然ときれいに色落ちしますよ」
私も3年くらいフレンチモールスキンのオーバーオールを着て、理想通りの色落ちになりました。「こういうものをつくりたい」という想いから逆算して、経年変化を考えて、立体感が出る巻き縫いを多用するなど縫製にもこだわりました。着続けたときの色落ちで雲泥の差になります。職人さんには苦労をかけましたけどね(笑)
どの季節に着るのがおすすめですか?
「欧州では冬でも着ています。
目指したのは冬を越せる
モールスキンです」
一般的によく見るモールスキンは、ペラペラの薄いものばかりなので、冬に着るには頼りないと思われるかもしれませんが、もともとはフランスのワークウェアに使われた生地なので、地厚で丈夫なものだったんです。フレンチヴィンテージに負けない地厚モールスキンをつくりたいという私の想いを実現させたこのカバーオールは、ヨーロッパの人たちと同じように、冬でも重ね着をしながら愉しんでいただけると思います。
『ラグログ』が特別注文した限定カラー、
グレーの魅力を教えてください。
「最初は乗り気じゃありませんでしたが、
いざ染めてみると当社でも売りたいくらい上品な色です」
私たちはすでに人気のある色を揃えているので、これ以上色を増やすつもりはありませんでした。しかし今回、別注カラーのお話をいただいて、確かにグレーもいいなと。いざ染めてみると、やはりいい感じですね。ジャケットを着ているような上品さがありますし、経年変化することで、柔らかな色合いをより愉しめると思いますよ。