LightUp Shopping Club
開発担当者が語る、
『究極のダンガリー』誕生の舞台裏。
連載第4回目は、〈マッセルバラ〉の製作陣による特別対談。
当社のマーチャンダイザー北沢と、
フレックスジャパン平林氏によるコラボトーク。
ダンガリー企画の製作秘話をお届けします。
Speaker
フレックスジャパン
平林 宏城Hiroki Hirabayashi
創業80年以上の歴史を誇る老舗シャツメーカーの企画生産担当。
素材選びから細部のディテールに至るまで、当社と二人三脚で形にしてきた開発パートナー。〈マッセルバラ〉アイテムにおいては、作り手のこだわりを形にするための仕様設計と技術監修を統括。
ライトアップショッピングクラブ
merchandiser
北沢 兼視Kenji Kitazawa
1994年入社。2003年にThe Heavy Duty Catalog(現:HD Style)を創刊、以来一貫してメンズ商品の開発に従事。2010年から〈マッセルバラ〉を担当している。
〈マッセルバラ〉が紡ぐ、インディゴの過去と未来
—なぜいま、このダンガリーなのでしょう?
北沢兼視氏(以下、北沢)これだけ効率が求められる時代に、1日40〜45メートルしか織れない生地を使う。普通に考えたら、ビジネスとして成立しない話なんです。でも今回、フレックスジャパンさんに調整していただいたおかげで、“ダンガリー生地を使用した新商品シリーズ”という特別企画が実現しました。
平林宏城氏(以下、平林)本当に、調整は大変でした(笑)。桑村繊維さんのシャトル織機は22台あるうち、稼働できるのは13台程度。しかも糸の入れ替えも10〜12分に1回、人の手が必要なんです。正直、最初は「この量を確保するのは難しいかもしれない」という話もありました。
北沢それでも、最終的にはきちんと確保していただけたわけですよね。
平林ええ。この唯一無二の風合いを世に出すことは、僕たち作り手の務めでもある。その思いが北沢さんと完全に一致したからこそ、なんとか形にできたんです。
北沢実は、いま世界中で旧型シャトル織機による“耳付き”の生地、つまりセルビッチのある生地は、まさに争奪戦の様相なんです。海外のハイブランドや、国内の有名デニムブランドも、こぞってこの生地を欲しがっている。
平林たしかに、海外からのお問い合わせも年々増えている印象です。
北沢そんな状況の中でも、変わらずマッセルバラの企画用に生地を確保し続けてくださるフレックスジャパンさんには、本当に感謝しています。
平林いえいえ。北沢さんたちが、この生地の“価値”をきちんと言葉にして伝えようとしてくれているからこそ、僕らも頑張れるんですよ。
“中白”に宿る素材の命と、信頼が導いたプライス。
—ここまでシャトル織機やブリーチ加工の話をしてきましたが、実はその前段階にも面白い話があるんですよね?
平林実は、シャトル織機にかける前、糸の段階にも、知ってほしい物語があるんです。世界的なデニムの聖地で、環境に配慮した先進的な染色方法を手がけている〈坂本デニム〉さんで、ロープ染色を行っているんですよ。
北沢ロープ染色というのは、細い生成りの糸を何本も束ねて、長いロープ状にしたものを、インディゴの染料槽に繰り返し通していく染色方法のことです。糸を一本ずつ染めるのではなく、ループ状にしたものを大きな装置で循環させる、かなり大掛かりな工程なんですよね。
平林そうですね、そしてこの工程によって生まれるのが“中白”という状態なんです。
北沢インディゴの染料は粒子が粗いため、糸の内部まで浸透できず、表面にだけ乗っかっている状態になる。だから、外側は深いインディゴブルーに染まっていても、糸の芯は白いまま残るんです。これが、本物のインディゴ染めである証なんですよね。
平林つまり、化学的に均一に染め上げた糸では、この“中白”は生まれない。
北沢あと、これは取材時に教えていただいて感動したんですが、インディゴは、染料槽から引き上げた瞬間、実は緑色をしているんですよね。
平林そうなんです。意外と知られていないんですが、引き上げた瞬間は緑色で、そこから空気に触れることで酸化が進んで、徐々に青へと変化していく。
北沢あの変化を見ていると、本当に飽きないんですよ(笑)。まるで色そのものが息をしているようで、生き物のように感じてしまいます。だからこそ、他の染め物とは違う愛着が湧くんです。
—今回のシリーズ、プライスにも相当なこだわりがあったとお聞きしました。
北沢今回の新商品を開発するにあたって、実は一番悩んだのが価格設定でした。お恥ずかしい話、この生地を使ったシリーズは、もう10年近く価格を変えていなかった。原料コストも人件費も上がっている中で、「さすがに、これは見直さないと…」という空気が社内にもありました。
平林そのとき僕、北沢さんに言ったんですよね。「同じプライスでやりましょう」って。
北沢あの一言で、完全に目が覚めました。「頑張れば、もっと多くのお客様にこの価値を知ってもらえるチャンスになる」と。平林さん、本当にありがとうございます!
平林「これまで通りのプライスでやろう」というのは、最初から僕の中で決めていたことでした。何の迷いもなかった。携わって下さる各工場に主旨をご理解いただき、弊社のスタッフが奔走した結果、多くの方々に協力を得てなんとか実現することができました。現場の方々には本当に感謝しかありません。
北沢お客様に“日常着”としてこの本物を楽しんでいただくためには、やっぱりこのプライスであることが絶対に必要だったんです。特別な日のための一着じゃなくて、毎日着るものだからこそ。無理だと決めつけずに挑戦してよかったと、心から思います。ぜひ、このこだわりの詰まった〈マッセルバラ〉のブリーチドダンガリーシリーズをお手に取って、たくさん愛用していただきたいです!
おすすめコーディネート
当社スタッフによる、〈マッセルバラ〉のコーディネートをご紹介いたします。
Next Issue
ダンガリーから繋がる、〈マッセルバラ〉のこれから。
「紡いできた物語の先へ。〈マッセルバラ〉の新たなる挑戦。」
次回は、全5回にわたる連載の最終回。
当社マーチャンダイザーの北沢が、〈マッセルバラ〉ブランドの展望を語ります。
55周年記念の最後を飾る特別な一着、そしてシャツの枠を超えて、あなたの装いや暮らしに寄り添う新たなプロダクトの予感まで。どうぞお楽しみに。

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